忠太郎殿の発案でまたもや、このDodoria.Blogの三人でどこか旅行に出かけようかなどと言う話になってて。
今回、与助が旅の進行役を任されてたんだっけ。
あぁ、すっかり忘れていたよ…。
…………。
鳥取記事終わらない限り、旅行は無いと思え!!
期限は五月のGWまでです。
餌を求めて我先にと、カモメの群れが此方目がけて飛んできた。
乗客の誰かが餌用に置かれたかっぱえびせんを購入して、カモメの方へと投げつける。
弧を描くように宙を舞ったかっぱえびせんを上手い具合に嘴でキャッチするカモメの群れは最早、熟練の餌取り達で、餌を与えていたオジさんも調子に乗ってかっぱえびせんを散弾銃のように投げつけたが、一つも漏れることなく喰い尽されていた。その瞬間を捉えようとカメラを片手に興奮する乗客達に混じって忠太郎殿も、自慢の愛用カメラでパシャパシャと鳴らしていた。
良い写真が撮れた時には興奮しながら我々に見せてくれるのだが、次第にその高揚感が頂点にまで登り着いたか、奇声を上げ、慌ただしく狂い始める。
「ウキー!ウキー!ウキキー!」
最早サルである。人は理性を外すとこうも狂変する事が可能であると我々は学んだ。
私と義光さんはそっと彼から距離を離して無関係を装い、次に来る景色を待っていた。
波は荒々しく、時折船を転覆させてしまいかねない程の揺れが我々を襲った。。
その都度に忠太郎殿も雄たけびを上げるが、俄然、我々は無関係を装った。
他の観客達から注がれる忠太郎殿への眼差しが冷たく、その視線は反射して我々にも突き刺していた。
居た堪れなくなるような感情が我々を襲ったので、愈々もって私は彼を宥める。
「落ち着こう、忠太郎殿っ。興奮するのは判るが、度を超えている!過剰であるぞ!」
「ウキャー!ウキャキャー!ウッキャキャー!!」
もはや我々との間に人語の齟齬という溝ができ始めている。
平和への第一歩は何事も話し合いから始まると言うのに、それが出来ないとなれば、このままでは彼は鳥取の山々に君臨する猿人と化すであろう事必定である。
そんな定めをひっくり返すのが旧来からの友である我々の成さねばならん事である!
拳を握りしめ、我々は忠太郎殿のお尻をひっ叩いてやりました!
おしりをひっ叩いてやりましたよ!
我々の忠太郎殿に対する思いが伝わったか、彼は正常を取り戻し、再び我々三人の絆が結束された時、雄大な海原が我々に喝采を与えるかのように、波は大きくうねり、潮が引かれ、さらけ出した岩肌達。
遅れて波はその岩がけに勢い良くぶつかり、波の飛沫が我々を濡らした。
船は緩慢とした動きで、港へと帰って行った。
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