鳥取の写真が手元にないので、記憶を頼りに記事を作成しています。
これがどういう事がお判りかね。
何故か、行きと帰りの道のりとそれにかかった時間が全く違う事に釈然としない与助だったが、そういう猜疑心も温泉に入れば、あらスッキリ。
お湯に浸かりながら、窓から見える海の景色に見惚れていたが、それが長湯しすぎてボーっとのぼせていただけであったのかどうかは定かでない。
定かでないが、風呂から上がった時に体がだるかった事だけは今でも覚えている。こういう風呂上がりの時は牛乳でも飲むべきだと思って、その牛乳のある売店を探すが、そんなのはなく、あったのはアイスの自販機だけ。仕方ないのでアイスでもぺちゃぺちゃと舐めていたら、ようやく温泉から上がってきた忠太郎殿と義光さん。そういや、遊覧船乗り場でもアイスなめてたな。
ちょっと一服して、それからすぐに温泉を出た。
もうとっくにバッテリーの切れた重い電動自転車を漕いで、緩やかな坂道を登っていく。これではせっかく温泉で汗を流したのも無駄ではないかと不平不平と漏らすが、それは他の二人も同じ事。
敢えて口には出すまい。FUCK坂道。FUCKバッテリー。ところがどっこい他のお二人さん、まだバッテリーを温存していやがった!FUCK忠太郎!FUCK義光!
やけになって坂道を全速力で扱ぎ出す。
「見よこれぞ人の力よ!電動などなくても貴様らなど簡単においてけぼりに出来るのだ!」
などと喚いてすぐに追い抜かれ、先に行ってしまわれた二人の後ろ姿をしょんぼりと見つめる。
このままで済ますものかと、俄然と、なおも漕ぎ出す。すると坂道は急な斜面となり、電動自転車をもってしても中々どうして前へ行きやしない。
今や与助の自転車はただの自転車なのでね、電動と言う名を削がれたただの自転車なのでね、与助にとっても、この斜面は苦痛でしない訳でしたが、それが私を鼓舞する訳です。
それが私の勝負魂に火を付けたので御座います。
「俺をただの漫画オタクと思うなよ糞ったれ!」
咆哮しつつ、体を上下へと揺らす度に息をせっせっと吐き、足を前へ前へと漕ぎ出す。下半身が疲労と激痛の警報信号が鳴っているにも構わず与助は走り続ける。
二人もこの斜面を走る中切れていたバッテリーを載せた自転車でただただ走り続けた。なにが我々をここまでさせるのか!
それは民宿で待つおばあちゃんが作ってくれる美味しいご飯!それだけである!
完全に日が暮れた観光名所、鳥取砂丘に着いた三人は疲労が極度に到達した身体で民宿に戻り、食堂で並べられたご飯を頂き、デザートには鳥取名物、梨を頬張りながら歓喜する。
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