おかしい。どうもおかしい。
与助はいつものように、作業の友としてミルクティーを二つ買っていたのだが、なぜか、作業を開始する頃、ミルクティーが忽然と姿を消してしまっていた。そんな馬鹿な話があるものかと、与助は辺りを隈なく探したが、見つからなかった。
その上何処に置いたかもさえ、記憶が定かでないのだ。いや、そもそもカバンから取り出した記憶すらない。
という事はカバンの中にある筈だが、それがないのだ。
以前、私は例によってミルクティーを買った時、そのまま店に忘れてきた事がある。かといって同じ徹を踏むような間抜けでないのは理解してほしい。
それに家路に辿ってる途中、私はカバンからIpodを取り出してる際にミルクティーがある事を確認しているのだ。
なのにない。何故ない。
この謎をスローンとマクヘール風に解き明かしてみようと思う。
男は仕事の帰り、ミルクティーを二つ買っていた。
自宅に戻る中、男はミルクティーがある事を確認している。
部屋に着き、作業を開始すると、そこには既にミルクティーがなくなっていた。
何故だ?
男はミルクティーが好物だ=はい。
その家には男一人しかいなかった=はい。
男がまた店にミルクティーを忘れた=いいえ。
男は友人二人が彼女持ちである事を妬んでいる=いい質問です=関係ありません。
ふぅ…まだキーワードが足りない…。
そこで我が兄上殿がお帰り成すった。
「兄者、兄者!不可解な事件に直面してしまったぞ!」
「なんや騒々しい。」
「これはとても奇妙で摩訶不思議な出来事だ。心して聞いてくれ。」
<省略>
「そうか、おまえもとうとう出くわしたか。」
「出くわしたとは、なんぞ、なんぞの事であろうか。」
「与助、それは座敷童の仕業や。」
「座敷童とな!?」
「そや、座敷童はな、人の大切なもんを隠してしまうたちの悪い奴ねん。」
「なんと愚劣な…。」
「判るで与助、俺もその昔、座敷童の被害に遭った一人やねん。大切にしていた、彼女からの贈り物である、携帯灰皿を盗まれてしもうたんや。
俺は探した、散々な。向かいのホーム、路地裏の窓、旅先の店、新聞の隅、こんなとこにある筈もないのに!」
何処かで聞いたセリフだなと思いつつ、そういえばあの携帯灰皿は与助が外出時に無許可で持って行って、友達の家に忘れて帰ってきた事を思い出した。
今も果たしてあるのだろうか。
「そこのみなさんもお忘れなきよう、座敷童は貴方の家にも潜んでいるかもしれません…。」
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