ひとり暮らしな寂しい休日

 はっと起きると、お天と様は真上の雲の隙間から覗きこんでいた。
今日もまた、昼か。
昨日は英語の文献を読みふけっていたら、いつのまにか、朝の七時ときた。
まったく、自分のリーディング能力の劣悪さには、呆れてしまう。
自分って馬鹿なの？そうなの？大学院生なのに、何故、こんなに馬鹿なの？
それは聞かないお約束ってね。
とりあえず、コーヒー。煙草。そして二食分のパン。はむる。はむる。ずずずのスー、パー。

 そういえば、最近、ブクログのPubooっての？あるんだね。ブクログは本の紹介とか、ネット上の本棚みたいなものかなって思ってたけど、実際にネットで書いた小説やら何やらを電子書籍として、出版してくれるとか。
床に落ちている文献を拾ってみる。うぅん、やっぱりこの重さとぱらぱらめくって、ここまで読みましたっていうあの実感だけは電子書籍には表現できんと思うのだけど。。でも個人がそんなこと言ってったって時代の波には逆らえないよね。

なんて現実的なことを考えつつ、今日の予定は前から楽しみにしてたアレだ。
最近ね、疲れがとれないんだな。ストレスもたまっちゃってるみたいなんだな。やっぱそういうのはこまめに出していかないと、ほら、人間てさ壊れちゃうから。

だったら壊れる前に「ひとりカラオケ」
ね、ひとり暮らし寂しいね。実家離れると、こういうことになるから嫌だね。近くに地元友達いないし、
よそもんだし、誘う人いないし。そしてこんな風に負のスパイラル的な考えになるからストレスもたまるんだね。学んだよ、誰か様。

というわけでいざ出陣。
駅前のジャン○カラオケ目指して、ＧＯ。
おぉ、通りの風がちょうどいい眠気覚ましになるぜ。そしてただでさえ、乾燥して荒れている肌への集中攻撃。まぁそんなの気にしない。気にしない。かさかさやだなぁorz

到着するとやはりレジの人のあいたたな目線が心地よい。いいよ、もっと見てくれ。あ、もうちょっと侮蔑的に見て。そうそう、ちょっと見下す感じで。などとレジの前で涎を垂らしていると、部屋番の書かれたプレートを渡された。入った時間は…二時間！
私、忠太、ぶっ続けで歌わせて頂きます！

………
しばらく歌っていると妙に向かいの部屋の談笑が気になってくる。すごく、すごく楽しそうだ。いいよね、友達いいよね。自分も欲しいよ。60億人ぐらい欲しい。
でも向こうの部屋の人、女の子、男の子もいるみたいだけど、聞いてると皆、歌はすごく下手だ。ふふふ。私、忠太。総じて歌は下手の方ですが、十八番ならちょいと持っております次第。ちょっとしたジェラシーがいじわるに変わり、ちょうど男の子の歌う番に合わせて十八番の曲を入れてみる。大人げないことこの上なし。
曲目はこんな感じ
「エアーマンが倒せない」
「侵略！イカ娘」
「Ｂ‘ｚのギリギリchop!」
「絶望ビリー」
…
十八番の中でも全部うるさい曲にしちゃった。ｗ　トイレと装って覗きこんでくる、そこの変態男子共！
俺の歌を聞けぇ！

バコッ！

ひぃ！

驚いて顔をあげると、向かい側の男の一人がこちらを睨んでいる。ひぃい。どうやらその男がドアを蹴ったようだ。あなおそろしや。一通り舐めまわすようにこちらを睨むと向かいの部屋に帰って行った。

なるほど、なるほど、これは戦争ですね♪

「the pillows:Last Dinosaur」
「just one」
「limp bizkit:Hot Dog」

核爆弾、三連発投入。ふん、時代遅れの曲ばかり歌いやがって。ネタはねぇのか、ネタは！無難な曲ばかり選びやがって。毎日、くだらねぇ人形みたいに、ルーティンワークこなしやがって。変則的に生きてみろやっての。平面に寝そべってばかりで立ちあがろうともしねぇのか。二足歩行で、行きたいところ行ってみろや。

って全部自分に言い聞かせてるだけじゃね？

………
しばらくそこから独りブルーに入った。ｗ　気付かん内に向かい部屋の住人はすでにdokokaいづこへ。
おそらくこちらの部屋を覗いてみるも、コーヒーの前でうなだれた男の姿をあわれに思いちょっかいさえ出さずに帰って行ったのだろう。
受話器が鳴り、かわいらしい女の声が終了を告げる。レジへ。清算。ストレス発散代、しめて700円。
なんというか、ストレス発散しすぎて、要るもんまで発散してしまった気分。

家に帰ると相変わらず誰もいない。当たり前だよ。パソコンの前に座り、とりあえず小説を書いた。今日はなんかノッていて、大分書けた。案外、小説はブルーな時の方が、書けるのかもなんて考えつつ、晩飯の準備。