何故ならそこは彼らの生まれ育った街並みとさして変わりがなかったのだから。
しかし落胆する事もこれからの旅路を悲観する事もない。外見より中身に目を配れ。
さすれば鳥取の温かみに触れられる。今はそう信じよう。
鳥取駅に着き、三人はまず地元案内所へと向かった。
受付のおばちゃんが丁寧にこれから行く場所や何処に何処があるかなどを教えてくれたが、我ら三人鳥取の名所など砂丘と浦富海岸以外は知る筈がなく何処の事を指しているのか理解できなかったので、おばちゃんには悪いが取りあえず話を終わらせて、鳥取の大通りへと向かった。
その日は日曜日だったせいか、何処の店もシャッターが閉まっており、一見街の風景が廃れた感じに見える。そうでない事も分かったいたのだが、何もなかった。
特に歩いていて気づいたのがところどころ張られているポスターにタレントやらアイドルとやらいった芸能関係が一切合切なかったのが気になった。
地元の誰かさんなのか、よくも分からぬ人物が大々的に取り上げられている。
シャッターの閉まった店が多い中で、日曜でも営業している店は多くはなかったが、その内の一つの、レトロ博物館の中に入った。
何か特別なものを売っている訳でもなく、ただ昔の昭和の趣を一般に公開しているだけの、まぁ展覧会みたいなものである。
売っているものもあるのだが、それがお菓子で、これはうちの地元の商店街の駄菓子屋でも売られているものだったから、特に懐かしい、或いは新鮮味というものが感じられなかったのだが、その商品が並べられている場所の前に、黄ばんだタンクトップと首に巻いたタオル、汚れた半ズボンと草履を履いているおじさんはなかなかの演出家だなと思った。
その他には昭和にありそうな、本屋や床屋の模造と、随分と古びたポスター。今ではもうお爺さんであるあの某有名司会者も、こんな若い時期があったんだなと感慨にふける。
それから三人は再び鳥取駅に舞い戻った。なんせ荷物が重い。
ロッカーに預けて自由奔放に楽しみたいのだ。その際また地元案内所の方へ向かった。
「あら、おかえり。」と先ほどの受付のおばちゃんがそう言ってくれた。
親近感が沸いて、気分はもう鳥取市民である。
我々は再び商店街の方へと足を運び、鳥取城跡へと向かった。
その道中、歌でも歌いながら、無暗にテンションあげつつ、途中に遭った中華店で腹を満たし、鳥取城跡へと到着した。
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