与助の鳥取旅行記事は今回で、終わります。
三日目はただ帰るだけでしたので、特に書くことなかったと思いますので。
あらすじ。
三人長い自転車走行を終え、ようやく民宿へ帰ってきた。
食事中、砂丘の上空で流星群が通る事を知った三人。これは行くべしと決意するが。
一行、身体が限界である。
うん。
じゃあ、お先に!
砂丘に行く事によってインスピレーションが生まれるのではないかと、そんな発案から企画された今回の鳥取旅行。
一日目の夜は、どうだったろうか。何故か三人、ペンを持たずにして、そのまま布団へと蹲って次の日を迎えた。
二日目の夜、昨夜と変わらぬ光景が今再び繰り返されようとしている中、なんとか意識を保ち二人に砂丘行きを提案する。
しかし二人とも、極度の疲労に参ってるようで、もはや屍のようであった。
そりゃそうだろうがよ!?
こうも一日のスケジュールを綿密にして実行してたら、そりゃ疲労で書く気にはなれぬわさ!
なんだよ!軽く100km近くは走ったんじゃないか俺ら!?いくら電動自転車だとしても無謀すぎたんじゃないかな!いや帰ってこれたけども!
けどもだよ!最後の方とかバッテリー切れてたし!俺なんか行きの時点から切れてたし!なんかもう訴えたい心情だよ俺は!俺だけは!お前らは違うからな!巧い事温存してやがって!
無理に彼らを引っ張り出し、砂丘へと足を運ぶ。与助は知っている。そうは言いながらも二人だって見たい筈なのだ。
夜の砂丘から見上げる流星群とやらを。空を見上げると満天の星空が我々を迎えてくれた。だがまだ物足りない。例のあの丘へ行ってみよう。
あそこから見上げる夜空はきっと格別のものである筈だ。途中、忠太郎殿が喚きだす。
「もう帰ろうよ!怖いよ!暗いよ!怖いよ!」
さすが寝る時も豆電球だけは付ける男。滞在中はこの男のせいでよく眠れないでいた。最終的には彼が寝たのを見計らって私が豆電球を消していたが。
しかし忠太郎殿が言う事も判る。本当に何も見えないのだ。
なにせ、電灯なんてものが砂丘にある訳が無い。一寸先は闇とはいうが、まさしくそんな光景で、視界に映る殆どが暗色に支配されている。
ただぼんやりと、曖昧な砂丘の造形が滲み出ているだけだった。それだけを頼りに我々が歩を進めた。砂漠に足を取られるのは、もう慣れたもんだがこんな暗闇だとそれが一層鬱陶しく感じる。
丘を登り切った後、後ろを振り返るとそこにはいたのは義光さんだけだった。忠太郎殿は気付かぬ間に民宿すりばちまで余儀なく撤退していったらしい。それほどまでにあの男は暗所恐怖症なのだそうだ。ちなみに私は閉所恐怖症である。義光さんは知らん。高所恐怖所な気がする。ここは三人揃えて起きたい。そんな願望。切望。
二人して見上げた砂丘の夜空。それは別世界である。街中で空を見上げる際に、ビルやらマンションやらが屹立していて、満足に空を見上げるのも難しいが、ここではそういったものが無い。
視界いっぱいに広がる満天の星空。この丘の上で見えたものは今までにないものだった。ずっと見つめていればまるで自分が宇宙に放り込まれてしまった様な錯覚を覚える。その錯覚で身体が倒れそうになる。尻もちをついて、視界に義光さんが入ってきた。
横にいるのがお前か。まぁ、それも悪くないが。こういう場所は可愛い女子と来たいもんだ。
忠太郎殿はもう寝てるだろうか。バイトの皆はもう寝てるだろうか。学校の皆はもう寝てるだろうか。学校の先生はまた学校をさぼって旅行に行ってる俺を怒っているだろうか。
スンマセン、俺、今ここにいます。夢のような場所にいます。
「あ、流れ星。」
鳥取旅行 完
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